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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第12章 夏のはじまり


あれだけ疲れていたのに、日が昇る前にはなんだか目が覚めてしまった。

黄瀬くんは昨日の疲れもあって、ぐっすり眠っている。

腫れた目に胸が痛む。
私も腫れてるんだろうけど……

ふと魔が差して黄瀬くんのほっぺたに、そっとキスをした。
少しでも、早く癒されますように。

ベッドから出て、静かに洗面所に向かう。

メンバーは今日は移動だけで、午後には神奈川に戻る。
明日、明後日は午後から試合後の軽い調整。

その次の日は1日オフで、その後はまた通常練習。
8月下旬には合宿がある。

私は、明日の決勝戦まで残る。
残りの試合の録画のためだ。

きっとまた毎日がせわしくなって、冬なんてあっという間だろう。

私も少しでも、役に立てるようにならなきゃ。

桐皇のマネージャーの桃井さん、本当にすごかった。
「未来」まで分析・予測されていた。

私も、あんな風になれたら……いや、考えてたって仕方ない。
ないものねだりをしている場合じゃない。

冷たい水で顔を洗う。

少し外の風に当たりたくなって、部屋にカギをかけ、外に出た。

あの様子だと、黄瀬くんはまだ目を覚まさないだろう。

ホテルの外に出ると、既に走り込んできた様子の笠松先輩に会った。

「神崎か。おはよう」

「……おはようございます」

昨日、ロッカールームで1人泣き崩れる笠松先輩の声を、聞いてしまった。
涙が止まらなかった。

「……黄瀬は」

「……えっ」

「黄瀬は眠れていたか」

先輩、黄瀬くんが私の部屋にいること、知って……?

「……別に責めたりしてるわけじゃねー。
昨日夜、黄瀬んトコ様子見に行ったら、アイツ戻ってねーみたいだったからよ……」

「も、申し訳ありません。今は、ぐっすり眠っています」

「黄瀬は、コートの外ではお前を心の拠り所にしているからな、頼むよ。
海常のエースをつとめるのは、想像を絶する重圧だ」

「はい……」

本当にそうだろうか。
黄瀬くんが心休まる場所になれているんだろうか。

「では、また後ほど……失礼します」

「ああ、アイツ寝坊しないよう、悪いが頼んだぞ」


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