第60章 お互いの
黒子っちが、みわのことを、好き?
「オレだって……好きだ。愛してる。
どうしようもないくらい、惚れてる」
ここまで聞いてもらってる黒子っちに隠したって、仕方ない。
素直に自分の気持ちを吐露する。
「それの何がいけないんですか?」
「……好きすぎて……制御出来ない。
性欲も、支配欲も、征服欲も、独占欲も」
あの美しい、一糸纏わぬ姿をベッドに縛り付けて、オレだけのものにしたい。
ずっと、オレだけを見るように。
オレだけを感じるように。
そんな歪んだ欲望が頭をもたげる。
「キミがそんなに難しい言葉で考えてるなんて、意外でした」
「……黒子っち、案外ヒドイっスね……」
「彼女がそれを嫌がっているんですか?」
「……正直、自信ないんス。
セックスの時は、我慢させてると思うし……」
オレの後ろの席からガシャガシャンという、カトラリーが落下する音が響いた。
その音に驚いて振り向こうかと思ったが、今はそんな話の流れではないし、少しくらい周りに音があった方が話しやすい。
「オレ、抑えきれずに抱いてしまうんスよ……」
意識が飛ぶまでなんて、普通じゃない。
休憩を入れるからといって、回数が多いっていうことも自覚している。
この間は……妊娠させようと、初めて避妊せずに挿入した。
「……でも、我慢出来ない。みわを見てると、独占してぐちゃぐちゃにしてしまいたくなる」
「そんなもんなんじゃないですか」
「みわが辛い思いをしてるのも、限界になっているのも、顔を見れば分かるんス。
なのに、やめてあげられない。
オレは、自分さえ良ければいい人間なんスよ……」
「そんなもんですよ」
「もー、簡単に言わないでよ……」
「いえ、簡単なんですよ。黄瀬君が難しく考えすぎなんです。どこの世界に、自分の醜い欲を抑え切っていられる人間がいるんですか」
「……黒子っちも、そうなんスか?」
「ボクだって、付き合ったら神崎さんをメチャクチャに抱きますよ」
今度はガタン、バシャッと、コップを倒した音が響いた。
「オレの後ろ、賑やかっスね……」
「そんなのはいいんです、黄瀬君」