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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第59章 すれ違い


「涼太、先にお風呂入っちゃったら? 汗掻いたでしょう」

そう言ってお茶を持ってきてくれたみわは、全くいつもの通りだ。

こんなに、うまく嘘がつけるコだったんスね。

「……皆が、みわに会いたがってたっスよ」

「本当に? 本当にそうなら嬉しいなあ。
でも、赤司さんと紫原さんは直接話した事ないんだよね」

「向こうはマネージャーだって言ったら、ちゃんとみわの事分かってたっスよ」

「凄い! 皆、ちゃんと他校のメンバーをチェックしてるんだねぇ……」

みわが桃っちみたいに優秀なマネージャーだと認められているからだと思うんスけどね。

「写真、見る?」

「うん、見たい!」

スマートフォンで桃っちに撮ってもらった写真を見せる。

「皆楽しそう……いいなあ、昔の仲間って」

みわが近寄ってくると、またタバコの臭い。

いつもの、優しくて甘い匂いがかき消されてしまっている。

そのタバコの臭いの向こうに、みわを独占してほくそ笑んでるヤツの顔まで浮かんできた。

みわ、嘘をつくなら風呂まで入らないと。
詰めが甘いっスよ。

「みわも来れば良かったのに」

「ごめんね、先に約束入れちゃってて」

ねえ、誰との約束スか。

「……今日は、どこに行って来たんスか?」

「えっとね、横浜だよ」

嘘だと分かっているのに真っ直ぐ聞かず、こうやってわざと聞くオレも最低だ。

「横浜のどこ?」

「えっ……お喋りしながらブラブラしたり、お茶したり」

完璧な態度に僅かな綻びが出来た。

元々フラフラ遊びに行くようなタイプではないし、直ぐにボロが出る事なんて分かりきっている。

みわだってそんなこと百も承知な筈なのに、まだ頑なに嘘をつき続けている。

「へえ、どこでお茶したの?」

「普通の、喫茶店」

「もしかして、あの駅ビル行く途中の道の右側に出来た大きなカフェスペース?」

「そ、そうだったかな」

「……あ、でもそういえばあそこはこの間、閉店してたな」

「……」

オレ、意地悪過ぎるっスね。

みわと目が合うと、"まずい"という気持ちなのが手に取るようにわかる。

オレに隠し通せると思ってんの?



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