第59章 すれ違い
「はぁ……すっかり遅くなっちゃったっスね……」
バスケをした後は、皆でパーティーをした。
バカやって、笑って。
撮った写真は桃っちが今度郵送してくれるって言ってた。
一応オレのスマートフォンでも撮ったから、みわには先にこれを見て貰おう。
「……さむ」
とても楽しい時間だったけど、帰るのがすっかり遅くなってしまった。
みわにはメッセージアプリで帰る旨を連絡したが、「既読」のマークがつかないままだ。
気付いていないのかと思い、念のためメールも送っておいたが、返信はない。
あきサンと楽しく遊べて、寝ちゃったんスかね……。
それならいいが、どうしても一抹の不安がよぎってしまう。
楽しく過ごしている邪魔をしたら良くないとメールなどで連絡していたが、もうこの時間なら家に帰っているだろう。
電話をかけることにした。
『おかけになった電話は、電波の届かない場所におられるか……』
電源が切れている。
心臓が嫌な音を立てた。
……いや、単に充電が切れただけかもしれない。
でも今まで、そんな事一度でもあったか?
非常識と思いながらも、あきサンに電話をかけた。
「あ、あきサン? ごめん、急に。今日、何時頃解散したんスか?」
『ん? なんのこと?』
「いや、みわに電話しても繋がらないから、まだふたりで遊んでんのかなと思って」
『ん? 今日はみわには会ってないけど?』
「……え? いや、今日遊ぶって」
『約束してないよ? いや、私も会おうかなと思って昼過ぎに電話してみたんだけどさ、電源切れてるもんだから、黄瀬とどっか行ってんのかと思ってた』
「……そっスか、ありがと」
何度かけても繋がらない電話。
不安を煽られて、駅までの道を猛ダッシュした。