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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第59章 すれ違い


広めの1LDKには、ここぞというばかりに物が散乱していた。

まずは、落ちている物達の分類。

さりあさんもやると言うので、彼女には洋服を集めて貰っている。

「洗濯物はこのカゴにお願いします」

「みわちゃん、慣れてるのねえ」

「男子バスケ部の部室は凄いことになっているので……」

「アハハ、男臭そう」

なんとかリビングの床が見えたところで、今度はベッドルームの仕分けだ。

窓を開け放ち、同じように散乱しているものを少しずつまとめていく。

ベッドルームの方が狭いのに、ゴミの量がハンパなかった。

既にパンパンになったゴミ袋が幾つか出来上がり、部屋の中もスッキリしてきた。

「さりあさん、服をクロゼットにしまいますよ」

驚く事に、広いウォークインクロゼットは殆ど物が置いていない状態だった。

普段は、床に転がっている服を適当に拾って行ってたのだろうか。

彼女から受け取る服は、流石モデルさん。
オシャレな物ばかりだ。

こんな服もあるんだなあとか、色味とか、見ているだけで勉強になる。

さっさと片付けてしまうと、さりあさんから感嘆のため息が漏れた。

「みわちゃん、すごぉい! 引っ越してきた時みたいにキレイになってきた!」

……つい先日引っ越して来たばかりだった気もするけれど……。

でも、部屋の乱れは心の乱れだ。

きっと、恋人と色々あって心身共に乱れて居たんだろう。

これで、少しでもスッキリすれば……。

「みわちゃんって、本当にイイコだねぇ……穢れを知らないって感じ。羨ましい」

「さりあさん?」

「あたしなんていっつも悩んでばっかし。何ひとつ上手くなんて行かない。惨め。惨めよ……」

さりあさんは目を伏せてそう呟いた。

「私も……自分に自信が持てません」

涼太の隣にいる自信。
自分が自分でいられる自信。
いつも、人に左右されてばかりで。

「そうかしら? 貴女は何でも持ってるじゃない」

「そんなこと、ないですよ……」

満タンになったゴミ袋の口を結び、廊下に並べる。

既に結構なゴミの量だ。

「さりあさん、一度コレ、捨てに行きましょうか」

「そうね」

そう言った瞬間、突然玄関のカギがガチャリと開けられ、見知らぬ男性が入ってきた。



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