第59章 すれ違い
ストバスコートには、既に桃っちと青峰っちが待機していた。
「あ、きーちゃん! あけましておめでとう!」
「よお、黄瀬」
「桃っち、青峰っち、元気だったっスか?」
「先月会ったばかりだよ、きーちゃん」
「ハハ、そーっスね」
もう、ギスギスした空気はない。
昔の温かい雰囲気だ。
「あれ、今日みわちゃんは?」
「ああ、ちょっと予定があったみたいで、今日は来れないんスよ」
「そうなんだ〜、残念。
……あ、皆来た! こっちこっち!」
久々の全員集合だ。
ウィンターカップの時のあれは……数に入れないでおこう。
やっぱり、キセキの皆でやるバスケは面白い。
昔に戻ったみたいだ。
今でもあの時の気持ちを思い出すと胸が痛くなることも後悔することもあるけど、これからは皆、前だけを向いていける。そんな気がした。
みわの事を紹介していない紫原っちと赤司っちにも、紹介したかったのにな。
ふたりとも知らないと思っていたけれど、付き合ってるのは海常のマネージャーだと言ったら合点がいったようだった。
マネージャーなのに、決して前面に出る役割ではないのに他校の記憶に残るみわが、なんだか誇らしかった。
赤司っちが
「俺は会場でふたりが話しているところも見かけたからね。
すぐに黄瀬の大切な人なんだと分かったよ」
と笑顔で言っていて、もうなんというか、流石としか言えなかった。
「黄瀬ちんにしては珍しーね、モデルじゃなくて普通の子」
と紫原っちはまいう棒を食べながら言っていた。
……まあ、今のところはこの位の紹介で十分かな。
またゆっくり、皆で会える機会もあるだろう。
「じゃあ、次の組み合わせが終わったら、お昼にしよっか!!」
桃っちの明るい声が響き渡った。