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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第59章 すれ違い


「……神崎」

待って……眠いの……。

ポンポンと肩を叩かれる感覚。
誰の声だっけ?

もう少しこのままでいたい。

「…………神崎」

だから、ちょっと待ってってば……。



ふわりと、唇に温かい何かが当たった感触。



……ん? 今の、なに?




「神崎!! 起き(ろ)!!」

早川先輩の大きな声で、パチッと目が覚めた。

「す、すみません!!」

これも、以前の合宿と同じだ。
全然進歩してない、私!

そう言えば……さっきの、なんだったんだろう。

温かくて柔らかい感触……あれはまるで、キスのような。

まあ、いっか。
夢でも見たのかな。




「集合!」

バスを最後に降り、待たせてしまった皆に謝ってから少し監督の話を聞いて、解散となった。

涼太からはメールが入っていた。
先に帰ってお風呂に入ってるって。

一日いじめ抜いた身体には、一刻も早い休養が必要。

念入りにマッサージしないといけないな。

……涼太に会える。

いつもよりも軽い足取りで自宅へ向かった。





「……ただいまあ」

何故か小さな声でそう言って玄関のドアを開けると、玄関の電気がついていた。

それは、他に誰かがいる証拠。
1人じゃないという事実に、少し嬉しくなった。

リビングに電気はついていない。
もうお風呂も上がっただろうし、部屋かな?

コンコン、とノックをするが、返事がない。

おかしいなと思い、ちらりと中を覗くと
タオル1枚を腰に巻いた涼太がうつ伏せで眠っていた。

どうやらお風呂の後、着替える前に陥落してしまったらしい。

部屋は既に空調が効いているから暖かい。

ベッドに上がり涼太の足に触れると、まだ張りが残っているようだ。

あまり素人がグイグイとマッサージするのは逆効果になる為、優しく、ほぐすように全身を揉んだ。

「う……ん……」

涼太は少しだけ反応を見せたけれど、目を覚ますことはなかった。

この日は、何日かぶりに密着して眠った。



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