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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第59章 すれ違い


その日、食事が終わり、いつもの勉強会を終えて部屋に戻ろうとすると、神妙な面持ちの涼太に引き止められた。

あれから、彼に抱かれていない。

時々また一緒のベッドで眠ることがあるけれど、キスをはじめ、触れ合う事はなかった。

また、この間の出来事についても、お互い敢えて触れようとはしなかった。

「みわ、昼間の事……ここを出て行くつもりなんスか」

正直、迷っている。

あんな噂が立っている以上、何がきっかけで涼太に迷惑がかかる事になるか分からない。

「う……ん、ずっとここに居るわけにはいかないかなって、思ってはいる」

「どうしてっスか……!」

「やっぱり、私たちまだ高校生だし。
ちゃんと、責任が取れる大人になってからかなって、思うんだ」

「みわは、お祖母さんのところに行くつもりなの?」

「うん、それか女子寮が空かないか、相談してみるつもり」

「……ずっと一緒に居たいのは、オレだけっスか……」

そんなわけないじゃない。
同じ気持ちに、決まってるでしょ。

「……今はちゃんと、涼太との事を考える時期かなって」

「別れるかどうかってこと?」

涼太の綺麗な目が不安に揺れている。
この人の意外に臆病な一面。

「そうじゃないけど……」

「けど、何?」

「……うまく言えない」

涼太に愛されれば愛されるほど、幸せを感じれば感じるほど、不安になる。

だって、私にはなんにもない。

なんにもないのに、涼太はそれでも隣に居ていいって言ってくれている。

でも、それに甘えたくない。

私は私で、胸を張って涼太の隣に居られるように、なりたいんだ。

「……とにかく、オレは反対っス」

それに、一緒に居ると、触れたくなる。
触れて欲しくなる。

どんどん貪欲になって、涼太に溺れて、ダメになってしまいそうで、怖い。

私はもっと強くならないとダメなんだ。



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