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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第11章 過去


「うん、うん、そう。だから私は、もうこいつとは一生関わりたくない。
お母さんがこいつと再婚するというなら、お母さんとも一生会わない。安心して。時間かけてお金は返すから」

そう告げて、電話を切った。
青ざめる男。

「お、お前……!」

「全部聞いて貰った。録音もした。私はもう何も怖くない。出るとこ出たって構わない。さあ、どうする?
これで私の前には二度と現れないって約束してくれたら、私も何もしない」

ヤツの携帯が鳴る。お母さんだろう。

「も、もしもし、いや〜ビックリしたよ〜今のはモチロン嘘だからさ〜演技派だろ?ぼく〜……え? ちょ、待って、待ってって、ちょっと!」

電話を切ったヤツは、愕然とした表情で両膝をついて頭を抱えた。

「わ、わかれる? じゃあ、ぼくの借金は、どうするんだ? どうなるんだ? ウソだろ?」

母に借金の肩代わりをさせようとしていたのか。
最低最悪のクズだ。こいつは。

通話を切られたのか、呆然としている。

「おま、お前の……お前のせいだ……この野郎……」

静かにそう言うと、首を掴まれた。

しまった。
逆上するかもという予測はしていたものの、なんとか逃げるつもりだったのに。

「ぐ、ぇ……やめ……」

息が出来ない。
ヤツは私を押し倒して、ショーツを下げた。

「首絞めてると、ここも締まるんだってよ、本当かなあ……もうぼくには何もないからね」

焦点が合っていない。
もう、正気でないのかもしれない。

息が。
息が。
吸っても吸っても、空気が入ってこない。
目の前が霞んでくる。
首が折れてしまいそうなほど、痛い。

ごめんなさい、黄瀬くん、私最後にポカしちゃった……

「みわっち!」

突然、玄関に飛び込んできた黄瀬くんが目に入った。
ヤツの手が離れた途端、酸素が流れ込む。

「ゲホッ! ゲホッ! うっ……げほ」

振り返ると、黄瀬くんがヤツの胸ぐらを掴んでいるのが見えた。

「だ、だめ……」

「テメー、よくも……殺してやる」

「ヒィ、お前、みわちゃんの」

「気安く名前を呼ぶんじゃねーよ!」

「だめ……!」

何発か殴り、吹き飛んだタイミングで慌てて逃げ出そうとしたヤツを、黄瀬くんが追おうとする。

「まって……きせく、ゲホッゲホッ!」

「みわっち!」

身体を支えて貰い、呼吸を整えた。

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