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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第58章 すべて受け止めて


家に帰ると、買った物をあちこちの棚に収納し、いつものお茶を淹れてくれる。

ふうと一息ついたところで、みわはコタツでいそいそとノートパソコンを開いた。

あまりにも真剣な表情に、後ろからこっそり覗いてみると、なるほど花の育成方法を勉強中だったらしい。

小さなメモにあれこれ書きながら、うんうんと頷いている。

「よし」

小さい声でそう言うと、鉢を眺めてニコニコしていた。

「実家暮らしの時は花、育ててたんスか?」

「ううん、実家の時は……お母さんに反対されて」

花を育てるのに、普通反対するか?
どうやらみわのお母さんは結構曲者みたいだ。

「なんでなんスかね?」

「うーん、それは分からないんだけど……あ、でも、このお花はお母さんが結構頻繁に買ってくれたよ」

みわが画像検索で花の画像を見せてくれる。

「へえ、初めて見たっス」

名前も聞いた事のない花だったが、形が変わった花だ。

「可愛いよね。これが身近にあったから、白いお花は好きなのかも」

そんなに思い入れのある花なら、名前を覚えておこう。

同じ花を贈るくらいだ。
きっと、みわのお母さんも意味を持って、この花を選んでいたんだろう。

「あ、クリスマスローズの花言葉、見ようっと」

花言葉。
しまった、そんなものがあったか。

女性に花を贈るなら、それくらいちゃんと確認しなきゃいけなかったのに。

変な意味だったらどうしよう。

「ねえ、どんな意味だったっスか?」

「"スキャンダル"」

「げ」

いきなりそういうの来た?

「"追憶"」

「うん、あんまピンとはこないっスけど」

「"慰め"」

「なんか悲しい意味が多いんスか……?」

クリスマスなんてつくから、恋人に贈るのが最適な花言葉の用意でもあるかと思ったのに。

「"私を忘れないで"」

「ふふ、忘れないっスよ」

「……"いつもそばにいて"」

「……居るっスよ……」

傍に寄って、柔らかい髪と頬に触れる。




「…………"私の不安を取り除いてください"」

深い深い、口づけをした。



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