第58章 すべて受け止めて
目が覚めると、みわは既に隣に居なかった。
ふわあと欠伸をひとつして、大きく伸びをする。
みわを抱いた次の日は、身体が凄くスッキリしている。
溜まっているものを出す行為だけでも勿論ある程度はスッキリするけれど、なんというか…とても満たされた気持ちになる。
抱きしめて眠るだけで、深く眠れる。
彼女がいない時、オレはどうやって生きていたんだっけ。
そんな事を考えていると、いい香りが鼻をついた。
みわが朝食を作ってくれているのだろう。
乱れた髪をくしゃくしゃ弄りながらリビングへ向かった。
「あ、おはよう」
みわが野菜を洗っている。
大好きな笑顔だ。
「オハヨ」
頬にキスをして、ダイニングテーブルへと向かう。
「何飲む? あったかいお茶? 牛乳?」
「んー、お茶がいいっス……」
「はーい」
テーブルには、パンにヨーグルト、ソーセージや目玉焼きが乗ったプレート。
今きっと、サラダを作ってくれているんだろう。
みわは今までずっと和食だったみたいだけど、オレが実家では殆ど朝食はパンだった事を知ると、こうして時々パン食にしてくれたりする。
オレはどっちも好きだからこだわってはいないけれど、オレの為に変えてくれているのがなんだか嬉しくて、あえて言う事はしない。
……あと少し寝てたら、起こしに来て貰えたのにな。惜しいことをした。
「みわ、今日午前中買い出し済ませない?」
「賛成! 食材も少なくなっちゃったし、明日からまた学校だしね」
「んで、午後はのんびりしよう」
「う、……うん」
流石の彼女でも、それがどういう事かよーく分かってきたらしい。
いい傾向だ。
他愛のない話をしながら朝食を食べ、ふたりで買い物へと出かけた。