第58章 すべて受け止めて
再びふたりでベッドに入ったのは、もう日が変わろうという時間だった。
「明日でもう、冬休み終わるんスね」
「そうだね、なんかあっという間だったね」
それでも、色々な事があった。
涼太の事、信用しているとか言っていて、少しの事で揺らいで。
ザワザワして。
もっと、強くなりたい。
大切なひとを守れるくらいに。
涼太の胸元に、そっとすり寄った。
涼太が髪を撫でてくれる。
「……涼太、ごめんね」
「なんのこと?」
「……なんでもない」
「……オレも、謝らなきゃならない事があるんスよ」
「なあに?」
「あの……写真。みわの横顔が、出てるやつ」
「あ、うん」
自分が写っているものは怖くてしっかりとは見れなかった。
「オレ、あの後監督に、みわの部分をもっと光で飛ばして貰うよう、言っちゃったんス。だから、実際使われる写真は、みわとは判別できないかも……」
「そうなの?」
それなら良かった。
正直、あんな素人丸出しの写真、雰囲気をぶち壊したらどうしようかと思ってたから。
「……ごめん、勝手に。他の人間にあんな顔、見せたくなかった」
「そ、そんな変な顔になってた?」
「違うっスよ……みわがあんな色っぽい顔するから」
「色っぽいって……涼太に恋しろって言うから、それならできるかなって思っただけだもん……」
「オレに恋してる顔を他の人間に見せないで」
涼太は時々、よく分からない事を言う。
「うん、気をつける……ね?」
「みわ、よく分かってないで返事してるでしょ」
「あ、ばれた……?」
「そういう子は、お仕置きっスよ」
ガバッと涼太に組み敷かれ、部屋着の裾から手が侵入してくる。
「わあ! も、もう今日は、むり、だよ!」
「……みわ、怖かった?」
「……あ……」
……後ろから、というのは嫌な記憶がある行為だった。
でも今日、涼太の愛を受けて……信頼しているひとに愛されて……少しだけ前進出来た気がする。
「怖くなかった。すごく……きもち良かった、よ」
その発言は素直なものだったけれど、涼太に火を再びつけてしまったらしい。
結局深夜まで更に濃密な時間を過ごすことになった。