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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第58章 すべて受け止めて


湿気に満ちたバスルーム内。

肌が触れ合ったところが、しっとりと濡れていく。
それは汗なのか、湯気のせいか。

「は……、ん」

唇は先ほどから重なり合ったまま。

腹部に、質量を取り戻した彼のものが当たっている。

くちゅくちゅとふたりの唾液が混ざり合い、私の口元から流れ出ていくのが分かる。

息をするのすらままならない。
もう、いっそのことこのまま息の根が止まって欲しいとさえ思った。

それほどまでに、大好きなひとの腕の中は幸せで。

陵辱された記憶は、普段の生活の中でいつ如何なる時も頭によぎってしまう。
私は汚された哀れな女なのだと、その度に惨めに思っていた。

でも、このひとの腕の中に居る時はそんな事すら思い浮かばない。

愛しい気持ちと、幸せな気持ちしか感じられない。
自分がこんな風になれるなんて、夢のようだ。

このひとに、全てを捧げたい。
このひとの、全てになりたい。

そんな風に考えてしまうのは、浅はかなのかな。

「んぅ……」

抱き止められたまま快感に身を捩るとふくらはぎがレバーに触れてしまい、シャワーからお湯が放たれた。

「あっ……」

しかし涼太はそれを気にする様子もなく、変わらずに口付けを続けている。

まるで、雨の中のキスのようにお湯はふたりの髪を濡らし、身体を伝う。

規則正しい水音が恥ずかしい声を掻き消してくれるような気がして、大胆な自分が少しだけ顔を出した。

あまりに長すぎるキスに頭を痺れさせながらもなんとか薄目を開けると、眼前には欲情しきった涼太の顔。

シャワーからのお湯が髪を伝い、額を通って睫毛すらも濡らしている。

本当に、美しい。

長時間のキスで蕩けきった私を確認するなり、頬に添えていた手をするりと首筋に這わせた。

「ん……」

ぞくぞくする。
彼の指が触れたところから血管が破裂するのではないかと思うほど。

あんなに大きく骨ばっていて長くしっかりした手指なのに、私の身体に触れる時は、驚くほど柔らかく、優しい。

大切にされている。
それが、得もいわれぬ快感に結びついていった。



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