第58章 すべて受け止めて
「だ、大丈夫……?」
「……オカゲサマデ……」
彼女の発言で興奮していきなり鼻血出すとか、童貞野郎かよ……。
あまりに普段言われない事を言われたからか、なんか脳天直撃した。
とんでもない失態を晒した。
もっともっとエロいこと、山ほどしてんのに。
「お風呂、沸いたけど……休んでからなら、入れるかな?」
「絶対入るっスよ……一緒に……」
お風呂のお誘いから2回戦まで……。
夢かと思った……。
オレが鼻血を出したせいでふたりで慌ててリビングまで出てきて、今はオレがソファに座り、みわはダイニングテーブルで鞄の整理をしている。
「……みわ、嫌ならもう聞かないけど……さっき受け取ったファイル、なんだったんスか?」
それが原因で彼女が犯されそうになったんだ。
嫌だと言われてはいそうですかと納得したくはないけれど、どうしても知られたくないというものを強制もしたくない。
「……これなの……」
意外にも、すんなりみわはファイルを持って来てくれた。
「これは……」
一番上に出て来たのは、チェックの際に女性陣が騒いだ、オレとみわが手を握っている写真だ。
確かボツになったはずでは?
数枚めくってみると、オレの写真ばっかり。
「……没になっちゃった写真ね、素敵なのいっぱいあったから……どうしても欲しくて……」
これが欲しくて、あんな危険な目に?
「言ってくれれば、オレから頼んだのに」
「……涼太に頼むと、何かあった時にマイナスになるって言われて……。それで……ごめんなさい……」
それで、何も知らないみわに適当な事を言って犯そうとしたってのか。
……殺しておくべきだった。
本気でそう思った。
「あッ、でも、もういいの! 私、大丈夫だから!」
「……みわ」
「えっ……」
照れるようにぶんぶん振る手を捕まえて、唇を奪った。
雨音が耳に優しく響いた。