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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


トイレに行こうと席を立ったら、廊下で男性スタッフさんに話しかけられた。

さっき、没になった写真を良ければ印刷して貰えないかとお願いしていた方だった。

「みわちゃん、ここじゃなんだからちょっとあっちの個室でいいかな」

本来なら、こういうことはNGらしい。
折角の記念だからと、こっそり印刷してくださるとの事。

通路を歩いて、更に奥まった部屋へ。
突き当たりの個室に入った。

「これでいいかな?」

確認すると、欲しかった写真の数々。

「わあ、ありがとうございます……!」

「誰にも言わないで? ナイショだからね?」

「はい! ありがとうございます!」

嬉しくてもう一周しようとめくると、パッと取り上げられてしまった。

「……みわちゃんは、黄瀬君の事が好きなの?」

「あ、あの」

「残念だけど黄瀬君、彼女いるんだってさ」

知っています、私です。
でも、それを公言しない方がいいんだろうか。

涼太も、あえてそういう事は口にしない。
もしかしたら、こういう業界では迂闊に言うのはタブーなのかもしれない。

「これ、欲しいんだよね?」

ひらひらと写真たちを見せ付けられる。
欲しくて欲しくて、恥を忍んでお願いした。

「……はい」

「じゃあさ、……分かるよね?」

彼は写真の入ったクリアファイルをパサリとテーブルの上に投げ、自由になった腕で壁際に追い詰めてきた。

「今日の撮影……すごかったよ。慣れてるんでしょ? ああいうの」

「え……っ」

「一部とは言え、顔出しOKするんだもん。モデルになりたいんだよね? 俺が監督に口ききすれば、デビューも夢じゃないよ?」

そんなの、望んでない。

「だからさ……」

スルリとスカートの中に手を入れてくる。

「やッ、やめてください」

「1回だけだから」

「嫌です、すみません私、もう行きます」

振り払って部屋から出ようとしたら、ガシリと腰に手を回されてしまった。

「写真、欲しいんでしょ?」

「……っでも、こういう事なら、んグッ?!」

突然、口に布を詰められた。
僅かに湿っていて、口内に張り付く。

「ンぐ、んん!!」

暴れて振り払うと、今度は脛の高さにあるテーブルに足を引っ掛けて転倒し、受け身を取れず顔を打った。

「……ッ!」



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