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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


たっぷり数時間打ち合わせすると、外はもう暗かった。

「お疲れ様でしたー!」

解放感に場が和む。
やっと帰れる。やっとふたりきりだ。

「これから打ち上げだけど、おふたりさんはどうする?」

……まさかの打ち上げ……。
いや、当たり前だよな。忘れてた。

出ないで帰ります、という訳にはいかない。
まあ、未成年だからほんの少しの時間だ。

「遅くまでは居られないんで途中で抜けるんスけど、参加します」

そう答えるしかなかった。





「それじゃあ、前途ある黄瀬君とみわちゃんの素晴らしい今後を祈って! カンパーイ!!」

何故か皆に祈られながら、杯が交わされた。
勿論オレたちはウーロン茶。

「黄瀬君は、彼女いないの?」

早速隣に座った女性スタッフからの質問。
……面倒臭い……。

「あら、黄瀬君は、去年から付き合ってる子がいるんだよねー!」

……増えた……。

「えー! 写真とかないの!? 美人!?」

……更に増えた……。
……写真、今日山ほど撮ったっスよ……。

開始10分、既にもう帰りたい。

横目でみわを探すと、メイクさんと衣装さんに囲まれてノートを広げて何か一所懸命に書いている。

あれから、一言も口をきいてくれない。
さっきのこと、やはり怒っているだろう。

「黄瀬君こんなに格好いいんだから、彼女不安になっちゃうんじゃないのー!?」

「大事にしてあげなきゃダメだよー!?」

「ケンカしちゃダメだよー!」

……笑顔でやり過ごすが、イラつく。

それは彼女達にではなく、自分自身にだ。



みわは、スタッフ達にペコペコと頭を下げ席を立ち、そのまま部屋から出て行ってしまった。

「スンマセン、ちょっとオレ、トイレに」

「えー! 黄瀬くーん!」

盛り上がる女性陣からひとり離れ、追って廊下に出た。



みわの姿はない。
トイレだろうか。

少しトイレの前で待っていたが、出てくる気配はない。

まさか、先に帰ってしまった?

いやいや、さっき鞄があったのを確認してる。



……どうしたんだろう?

居酒屋内はゴチャゴチャしている。

もしかしたらまだトイレかもしれないけど、心配になって一応店内を探す事にした。


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