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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第10章 接触


1人の帰り道は久しぶりだ。
最近は黄瀬くんが心配して、ずっと一緒に帰ってくれてたから。

スーパーで食材を少し買って、帰路につく。
冷蔵庫、空っぽだった。

アパートの前に着いた。
一応、周りを見渡す。

ホッと一息ついて、ドアの鍵を開けた。

玄関に入って、スーパーの袋を置く。
ドアを閉めようとした瞬間、突然強い力で外側に引かれた。

「!?」

「みわちゃん……やっと会えたよ〜ヒトリで帰ってくるの、久しぶりだね」

嫌らしい目つき、わざとらしい猫なで声。
背筋が凍った。

ヤツだった。
ちゃんと周りは見たのに……つけて来られてた……!?

ドアを閉めようと引っ張るが、だめだ、ヤツの力の方が全然強い。

「やめて! 来ないで!」

「つれないこと、言わないでよ。ぼくたちの仲じゃない」

「本当にやめてください! やだ! あなたとはなんの関係もない!」

「……なんの関係もない? じゃあ、あの背の高いカレシにぼくたちのこと、話してもいいってことかな?」

「な……」

「だってそうでしょ、何の関係もないなら、何言ったって大丈夫だよね。なんなら、ここで大きな声で話してもいいんだよ?
ぼくたちが、何をしてたか」

「そんな事して……こ、困るのはあなたも同じでしょう」

「いや全然? 元カノとの話をするだけだし?」

「あ、あなたの彼女になった覚えはない!」

「強情だなあ〜何度も肌を重ねた仲じゃない」

やめて。やめて。やめて。

「やめて、本当に、来ないで! 帰って!」

「今、バスケ部でマネージャー頑張ってるんだって? すごいね、勉強も一番みたいだし、ぼくの自慢だなあ」

「どこで……そんなこと……」

「ちょっとその気になれば、オトナはなんでも調べられるものだよ」

私の家だって知っていた。

「ぼくたちのこと、部の皆が知ったらどうなるかなあ? 今まで通り、仲間として仲良くやってくれるかな?」

皆の顔が浮かんだ。優しい皆の顔。
あの笑顔が、軽蔑した眼差しに変わったら……

「……卑怯者……何が目的なの……」

一際嫌らしい顔で嗤ったヤツは、ニヤニヤしながら嬉しそうに喋り出した。

「いや、なんてことはないよ、今まで通りの関係を、また始められればなーんの問題も。……分かるでしょ?」

ヤツの手が、私の頬に触れる。
気持ち悪い。やめて、やだ……
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