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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


監督からOKの合図があり、場の緊迫感が一気に和らぐと、みわは身体の力が抜けたのか、倒れこんできた。

静まり返っていたスタジオ内が活気付く。

「チェック入りまーす!」

これから、撮影した写真のデータチェックが始まるようだ。

オレの胸元のみわの身体は熱く、呼吸は荒く乱れている。
それは、全神経を集中して撮影に挑んでいた証拠。

「みわ、お疲れ様」

「はぁ……はぁ……モデルさんって……大変だね……」

オレはみわの集中力と美しさに言葉を失った。

元々肌は色白で、透明感と表現するのに相応しい程キレイではあると思う。
でも、それに加えてあの瞳。

全てを見透かすような、それでいて全てを包み込んでくれるような、愛に満ちた視線。

女子高生とは思えないその色気に、背筋がゾワゾワした。

いつも、あの目に翻弄されてしまう。

「ふたりとも、お疲れ様」

Sariがバスローブを持ってきた。

「……ドーモ」

くったりしているみわの背にかけてやる。

「Sariさん……ありがとう……」

意外にも、みわはSariに礼を言った。
みわは、抱いた怒りを別の件にぶつけたりしない。

……あの様子だと、殴り合いをしたという感じだった筈だけど……。

オレとのトラブルの件と今回の件は別だと判断出来ている。

そんな理性的な部分も好きだ。
一事が万事、では苦労する事も多い。

……何度も言うっスけど、そんな理性的なみわが乱れるのがまた、たまんない。

オレも一回り大きいバスローブに腕を通した。

「みわ、休憩してからにする? 身体大丈夫? 辛いなら監督に言うっスよ」

「……へいき」

……相変わらずの頑固さっスね。

みわはノロノロと身体を起き上がらせると、ゆっくりとバスローブに袖を通した。

「はい、お水」

「……いらねっス」

Sariはペットボトルを差し出したが、とても受け取る気にはなれなかった。

オレはみわの肩を抱き、監督たちの元へ向かった。



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