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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


一旦控え室に戻る事にしたけれど……私、なんかとんでもない事決めたんじゃ……。

「Sariさん……」

「ごめんねみわちゃん。私に話を貰ったんだけど、今の私に『恋』の表現はきっと出来ない」

恋を失ったばかりのSariさん。

「こんな事言ってたら、プロ失格なんだけどね……」

その目は寂しそうだった。

もし私がこの恋を失ってしまったら、どうなるだろう?
想像して、思わず身震いをした。

「で、でも、私なんてもっと……表現するなんてどうしたら……」

「貴女はいいのよ。リョウタの事が好きだなって思っていればそれだけで」

「えっ」

「たかが写真だ、って思うでしょう? でもね、ファインダーを通せば、心の中が丸見えになってしまう」

「こころの中が……」

それってなんか、怖い。
取り繕っても意味がないということ?

「薄っぺらい演技なんて通用しない。貴女は、貴女の気持ちを出しているだけでそれだけでいいの。後はリョウタに任せて」

気持ちを出す、だけ。
それが物凄く難しいような気がするけれど……。

「……分かりました。やれるだけ、やってみます」

「そこで腹を括ってやろうとする所、あたし凄く好きだわ。尊敬する」

Sariさんはそう言うと、パッと背を向けてしまう。

「さ、準備しましょ。まずは服を脱いで、そこのバスローブを着て」

温泉以外で人前で裸になったことなんてない。
コソコソと服を脱いで、バスローブを羽織った。

「で、その水着を履いて」

言われた通りに薄い水色の水着を履く。
これ、ちょっと布面積が小さくないですか?

「胸はこれね」

これは、一時期テレビで良くやっていた、胸に貼り付けるタイプのブラジャー。
肩ひもも背中のひももないから、夜会用ドレスにはピッタリなんだとか。

Sariさんからアドバイスを受けながら、なんとかそれらを装着した。

「キスマークは……メイクさんに聞こうか」

まじまじと肌を見られ……そう言えば、涼太に付けられた跡が。
あ……結構濃い……。


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