• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


先ほどの撮影スタジオ。
涼太の姿はない。休憩中のようだ。
……正直言うと、会いたいな。

Sariさんが男性に駆け寄る。

「監督、ご無沙汰です!」

「おーSari、相変わらずだな」

監督と呼ばれた男性。
恰幅が良く、髭を生やしてサングラスをかけている。

こんな薄暗い部屋でサングラスをして、前は見えているんだろうか……と全く余計な事を考えた。

「ネエ監督、この子どうかしら」

そう言って、Sariさんは私の両肩を掴んだ。

「今回の広告のイメージにピッタリじゃない?」


なんの話?

「……キミ、新人?」

え?
私のこと?

「ううん監督、この子は一般人。私の友達よ」

「……確かにイメージ通りだな」

……ふたりは、なんの話をしているの?

「キミ、名前は?」

「ほ、神崎です」

「下の名前」

「みわ……ですが……」

しまった、偽名とか使った方が良かったのかな……なんか怪しい雲行き……。

「ちょっと悪いけど、そこに立って」

中央のベッド辺りを指差され、訳のわからないままに移動すると、ライトに照らされる。

「レフ板お願い!」

「レフバン」なるものを男性が持ってきて、何やら角度を変えている。

「みわ、こっちに目線貰えるかな」

よ、呼び捨て!?
呼ばれた方を振り返ると、テレビで見るような立派なカメラが目に入る。

ピーピーピー
パシャーッ

という音とともに、強烈なフラッシュが目を眩ませた。

一体なんだっていうの!?

「みわちゃん、こっちこっち」

Sariさんが手招きする方へ行くと、何やら皆が画面を覗き込んでいる。
どうやら、今撮った写真が既にパソコンに転送されているらしい。

凄い、文明の利器……!
じゃなくて。

アホ面した私を皆に見つめられて、顔から火を噴いて倒れそうだ。

「うん、いいね。みわでいこう」




/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp