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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


「Sariさん到着しましたー!」

後ろでスタッフさんが叫んでいる。

きっとこうやって、この広い空間で情報共有をしているんだろう。
私は涼太に会うことなく、Sariさんと控え室に入った。

テーブルの上には、様々な種類のペットボトルが置いてある。

「みわちゃん、好きなの飲んでいいよ」

「あ、ありがとうございます」

喉がカラカラだった。助かる。
……お水を手に取って、一瞬考える。

そう言えば……この間涼太は薬を盛られたって……。
手が固まって、手の中に持ったペットボトルを凝視してしまった。

「……何にも入ってないわよ」

それを見抜いたSariさんがすかさず言った。

「あ、はい……」

うう、気まずい。

「どうだった? リョウタ」

「……カッコよかったぁ……」

思わず敬語も忘れ、本音が漏れる。
だって、めちゃくちゃカッコよかった。

あの、誘うような目。
赤い舌が僅かに覗いた口元。
シーツをなぞる指。
整った肢体。

見ているだけで、下半身がきゅんとなるのを感じてしまった。
でもまさか、ヌードのお仕事だったなんて……。

「この後はね、女性モデルとの絡みのシーン撮影なんだって」

「絡み……」

涼太があんな肌を露出しているんだから、相手役だってそれなりに肌を出すだろう。
少しだけもやもやする。

「もしかして、その役はSariさんが?」

「あ、ちょっと監督のところに行かなきゃ」

……聞いてない……。
いや、でも先ほどの入り口で会った女性の口ぶりからしても、きっとそうだ。

今日ここに連れてきたのは、私に、涼太とSariさんの絡みを見せつけたいということ…!?

……嫌だ。
もう涼太を見る事が出来たし、先に帰らせて貰おうか。

ふたりのそんなシーン、例えお仕事でも目の前では見たくない。
……関係があった頃のことを、想像してしまいそうで。

抑えていた怒りまで再度噴出してしまいそうで。

「Sariさん、私今日はもう」

「ほらみわちゃんも来て!」

「ちょっ……」

細腕に似合わないほどの強い力で、Sariさんは私を連れ出した。





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