• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君







「黄瀬君、再開するよ!」

控え室に入ってきたマネージャーの声で目が覚めた。

「……ハイ」

頭がスッキリしている。
夢も見ず、短時間で熟睡していたようだ。

……と思ったら、寝ようとした時間から既に1時間以上が経過している。

Sariの準備がそんなに手間取ったのか?
彼女ひとりで撮る写真は無いはずだけど。

ウィッグだなんだと言っていたから、きっとそこら辺で色々あったんだろう。
大きく伸びをしてソファからおりた。

……あの夜の事は気に留めてないとはいえ、肌を合わせて官能的なポーズを取るほど役に入り切れるだろうか。

みわ以外の肌の温もりなんて気色悪いだけ、というのが本音。

しかし仕事だ。
切り替えていかないと。

「黄瀬君入りまーす!」

スタジオ内は既に準備万端。
見渡すがバスローブのSariの姿はない。

「ベッドOKでーす!」

ベッドの方に目をやると、黒髪のウィッグをつけた女性が既にベッドに横たわっている。Sariか。

彼女としても、あっけらかんといつも通り顔を合わせられるほど、平然としていられないのかもしれない。

薬を盛って無理矢理……などと、いつもあんな事ばかりしているわけではないだろうから。

はぁ、と誰にも気付かれぬようにため息をひとつついて、ベッドに入る。

「黄瀬君、リードしてあげてねー!」

そんな監督の声が飛ぶが、Sariの方がずっとセンパイだ。
むしろオレをリードして欲しいんスけど。

しかしSariはこちらを向かない。

仕方ない、雰囲気作りも重要だ。
背後から優しく腕を回した。



え?


一瞬で感じる違和感。


いや、違和感を感じないことに違和感を感じたというべきか。


違う。


Sariじゃない。


この匂い、この髪、この肌。


妄想しすぎて、遂に幻覚を見てるのか?


この子は……


「……みわ!?」


振り向いたのは、耳まで真っ赤にしたみわだった。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp