第56章 信頼のかたち
「あの優しい子、どうなっちゃうかな? リョウタのせいで沢山の男に無理矢理犯されて。でも、クスリで良くなるはずだわ。やだ、ちょっとワクワクしてきた。写真や動画、楽しみにしててね」
ケタケタと笑っている。
……この状態の時のSariは危険だ。
「幸せしか知らない能天気なお嬢さんが汚れていく様が見ものね」
「やめろ」
「ねえ、じゃあリョウタ、抱いて」
「……なに?」
「貴方がみわちゃんを抱く時のように愛して、抱いて。また、さりあって呼んでよ」
Sariは無垢な笑顔でベッド上を転がりそう言った。
「……脅すつもりか」
「だって、今のままじゃ"無理矢理"って言えば済んじゃうじゃない。ちゃんと貴方の意志で、私を抱いて」
"無理矢理"で済むって?
ふざけるな。済むもんか。
そんな簡単じゃないことくらい、わかってる。
みわに話す時には、全てを失う覚悟で話さなければならない。
オレがした事は、そういう事だ。
他の女を抱くというのは、そういう事。
「ねえ、抱いて」
「………」
「24時間365日、彼女を守れると誓える? 私は壊すと決めたら全力で壊しにかかる。数分あればレイプなんて出来るんだから」
「……笑えない冗談はよせ」
「あら、本当だってば。私が電話1本かければ、あんな子すぐにズタボロよ。……試してみる?」
「やめろ」
この女を、止めなければ。
「今夜の事、帰ってから貴方はみわちゃんに話さないで」
「……何故だ」
「なんでも。今日言ったら許さないわ。言うなら、それなりに覚悟することね」