第56章 信頼のかたち
……最悪だ。
オレのことは別にどうだっていい。
気持ちの入ってない行為なんてセックスですらない。
みわと愛し合ってするのだけが、オレにとってのセックスだから。
でも、こんな事をみわに知られたら、どれほど傷付くか知れない。
みわは自分を責め、オレを軽蔑し離れていってしまうだろう。
痛む頭でそんな事を考えながら必死に腰を振るSariを眺めていた。
Sariは、可哀想な女だ。
愛される事を知らない。
女が愛しい人に愛されるとどれほど輝き、美しくなるのかを知らない。
愛する人と身体を重ねる事がどれだけ幸せで気持ち良いものなのかを知らない。
人を愛することを知らない。
なんて哀れなのだろう。
……でも、オレもずっとそうだった。
今のSariは、以前のオレを見ているようだ。
「……リョウタ……イイッ……」
合間合間に訪れる強烈な頭痛と下半身に走る快感のコントラストがあまりに気持ち悪く、横を向いて嘔吐した。
吐きたい、という感覚さえハッキリとはせず、横を向いた拍子に嘔吐していた、の表現の方が正しいかもしれない。
その後、Sariは喘ぎながら腰を振り続け、オレは吐きながら頭に浮かんだ事をひたすら呻き続けた。
何度か繰り返し射精した頃には既に意識を保てていなかった。
暗くなっていく意識の中で、大切な人の笑顔をずっと思い出していた。
みわ
ごめん