第56章 信頼のかたち
自分がこんなにも積極的になるなんて思ってもいなかった。
キスだけじゃなく、身体を重ねる時もそうだ。
引かれたら、とか
こんな下品な、とか
そんな事ばかり頭をよぎってしまうけれど、好きという気持ちが頭を支配すると訳が分からなくなってしまう。
今伝えないと、伝えられなくなりそうで。
また、大切なものがどこかに行ってしまいそうで。
……なぜ『また』と思ったかは分からないけど、不安だった。
私から重ねた唇。
もう涼太とは何度も何度もキスをしているのにずっとドキドキして、平静を保てない。
でも、同時に凄く安心できる。
何度も何度も啄むように重なり合わせ、溶け合うように舌を絡ませた。
もう、大丈夫。
揺らがないでいられるはず。
結局今日は、私は残り時間をベッドの上で過ごし、涼太はリビングで何かをしているようだった。
夜には殆ど体調も元通りになり、いつものように彼の体温を感じながら眠りについた。