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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第56章 信頼のかたち


ちゅっちゅっとひたすら耳朶を舌で弄る。
どうしてこんな事をしているのか、自分でも分からない。

まだ熱があるのか、頭がカーッとあつい。

「みわっ……」

涼太は不自然な前かがみにされているから辛いかもしれないけど。
そんなの……考えてあげられる余裕がない。

暫く耳全体を吸ったり噛んだり舐めたりと、好き放題に繰り返した。
顔が……あつい。

「はあッ……はぁ」

なんで私の方がこんなに息が上がってるんだろう。

いつも余裕な涼太も僅かに戸惑っていて、少しだけ気持ちが落ち着くかと思ったのに、どんどん焦れていく。

この気持ちは何?
怒り?
悲しみ?
嫉妬?
独占欲?

でも、とても醜いものだということは分かる。

こんな気持ちを押し付けるべきではないということも、分かる。
なのに抑えられない。

「……みわ……」

さっきから私を呼ぶ声は勿論聞こえている。
なのに、返事をすることができない。

このひとは、私の男だ。
自信なんてないくせに、そんな気持ちが醜く渦巻いて、制御出来ない。

涼太は、いつでも振りほどける筈なのにそうしようという気配はない。

どうやったら私の香りが染み付く?
あなたから私の香りがするようになる?

そんなどうしようもないことばかり考えて、涼太をソファへ押し倒した。

涼太は、やはり抵抗しない。

耳から首筋へと舌を動かし、手はシャツのボタンに手をかけた。

私のだ。
これは、私の。

このひとの温もりも、優しさも、涙も、弱さも全て私のものだ。

そんな訳がないのに、傲慢な自分が暴れ出して、涼太の服を剥いでいく。

首筋に噛み付くように唇をつけて、これでもかというくらい強く吸う。
きめ細やかな肌に、欲の証が残った。

大好きなのに、信じているのに、信じているから、


苦しい。


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