第56章 信頼のかたち
「ごめんなさい、折角作ってくれたのに残しちゃって……」
「ううん、思ったよりいっぱい食べれて良かった。暫く眠るといいっスよ」
温かいものが胃に入って、気持ちがホッとした。
頭を撫でてくれる涼太とふと目が合う。
……あ……
私、どうして気が付かなかったんだろう。
涼太が、こんなに傷付いた目をしてる。
……
そんな目をしないで。
キス、したい。
……深くまで、触れたい。
なんでこんな時に、こんな体調なんだろう。
頭があまりにも痛くて、目を開けているのも辛い。
「うう……」
何か言うより先に嗚咽が漏れてしまう。
「……ちゃんと連絡すれば良かったっスね。みわから連絡なかったから、先に寝てるかと勘違いしちゃったっス」
え?
私から連絡がなかった?
そんなわけない。
ゾッとするほど着信履歴は入っていたはず。
留守電だって入れた。
メールの送信履歴だって、見てみれば写真付きのものが送られているはずだし。
……Sariさんが消した?
「気にしないで。風邪引いたのは、私が勝手に外出たから……」
「……ごめん」
何度目の"ごめん"だろう。
「もう……あやまらないで……」
なんとか頭痛をおさめようと目を瞑ったら、そのまま眠りの中へ引きずりこまれてしまった。