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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第56章 信頼のかたち


追及なんてしたくない。

涼太は、私のワガママを聞いて行ってくれたんだから。

疑ってるわけじゃない。
何か、事情があるんだ。

でも、あの香り……香りが移るなんて、よほど近くにいた証拠だ。
涼太は気付いてないんだろうか。

いやだ。
涼太のこと、信じてる。

「はっ……くしゅん!」

頭が少し痛い。

風邪を引いたらいけない。
とにかく今はお風呂に入ろう。

服を脱ぐと、身体中至るところに涼太がつけた跡がついている。
涼太と愛し合った、跡。

大丈夫。
信じてるもん。

頭痛と生理の貧血で、目が回ってきた。

浴室に入ると、湯気で少し気分が悪くなる。
数時間外に居て、既に風邪を引いてしまったかも。

吐き気を抑えながら身体などを洗い湯船に浸かると、急に泣きたい気持ちになってきた。

あまりにも心細い時間だった。
今は涼太が帰って来てくれて、その気持ちの代わりに説明出来ない感情が渦巻いてしまっている。

考えたって仕方がないのは分かってる。
涼太を、信じてる。

何度目の反すうになるか分からないけれど、こころの中で繰り返した。

湯船を上がって、お湯を抜く。
流石に生理中の私と同じ湯船に入らせるわけにはいかないし……。

お湯が抜け切るまでに、着替えて髪を乾かしてしまおうと思い、バスルームを出た。

着替えてドライヤーをかける頃には頭痛は更に酷くなり、お風呂上がりだというのに身体には悪寒が走ってきた。

しまった……先に薬を飲んでおけば良かった。

「あ……」

目の前がぐるぐるして、思いがけず洗面台の前にへたり込んだ。

「やば……」

髪も乾いたし浴槽の掃除をしようと思うのに立ち上がれない。

段々頭がボーッとしてくる……。



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