第55章 街へ出よう
「今……何時?」
「18時くらいっスね。起きる?」
「……ちょっと口の中気持ち悪いからすすいでくる……」
「オレもいこ」
ひんやりとした廊下を歩き、同じく冷え切った洗面所でふたり、並んで歯を磨いた。
なんかホントにこれ、夫婦みたいじゃないスか?
「寒いね……」
そう言って震えるみわの身体はとても冷たくなってそうだ。
冷え性に悩まされていると言っていたし。
後ろから見る背中は物凄く小さくて、つい背後から抱きしめてしまう。
もう、条件反射みたいなものだ。
「あ、涼太あったかい……」
そう言って腕に顔をすり寄せたのが可愛すぎて一瞬クラッときた。
豆腐並みのオレの理性。
だめだ、今ベッドに戻ったらまたシたくなってしまう。
自然にリビングに戻るよう誘導し、再びふたりでコタツに足を入れた。
「あー、やっぱりコタツには逆らえねぇっス。コタツでうとうとすんの、気持ちいいんスよね」
「本当。気付いたら寝ちゃってた。……あ、夕飯、お鍋にでもしようか」
コタツの中で足がぶつかる。
驚くほど冷たい。
途端、すすっと足がどこかへ逃げてしまう。
「あっ、ごめんね」
「……何がっスか?」
「足、ぶつかっちゃった」
いや、ぶつかるでしょ。
189㎝と、ちょっと背が伸びた160㎝台が一緒のこたつに入れば。
すすっと寄ってまた冷たいつま先に足を寄せると、またささっと避けられる。
「なんで逃げんの」
「だ、だって冷たいから、私の足」
コタツに入ってなお、まだこの冷たさって心配になるんスけど。
「冷たいからくっつけてんスよ」
みわを見ると、恥ずかしそうにもじもじしている。
ねえ、本当にこの子、今日カラオケでオレに跨ってエロい事した子?
あんな事しておいて、なんで今更つま先が当たるのが恥ずかしいんスか……
女心ってやつは、まったく。
「みわ、今日はあんなに大胆に迫ってくれたのに」
ついまたいじめる方向に進んでしまう。
みわは、顔を赤くしたと思ったら下を向いて……ぽろりと涙を零した。