第55章 街へ出よう
少し歩いて、大きなインテリアショップに辿り着いた。
ワンフロアでも広大な敷地面積で、年始だからか人も多い。
店内に入るとすぐに店員が話しかけてきた。
新居用かなどなんだのと聞いてくるのでよくよく聞いてみると、どうやら新婚カップルだと間違えたらしい。
みわは顔を真っ赤にして否定していたが、満更でもない感じだったのが可愛かった。
なんか、今日はみわとの『未来』を意識するのが多い気がする。
こうやって、ずっと並んで歩いて行けていたらいいな、と思った。
暫く色々な家具を見て回っていたが、肝心のコタツテーブルはあまりに高くて予算オーバーであった。
仕方なくホームセンターへ場所を移し、シンプルな丸足のコタツテーブルにみわがチョイスした北欧風のコタツ布団、日用品を少しだけ買った。
「え、涼太、持って帰るの?」
「ん? そうっスよ」
「重いんだからだめだよ。配送頼もう」
「こんなん重くないっスわ」
本当に重くないんだって。
軽量の買ったんだし。
みわがコタツ布団を持つということで渋々了承して貰い、大荷物のふたりは家に帰る事にした。
「ただいま……っと」
「ただいまぁ」
ふたりとも玄関先で荷物を降ろしてグッタリ。
重くないとはいえ、あの人ごみの中、このかさばる荷物を運ぶのは大変だった。
早々にコートを脱ぎ、組み立てに取り掛かる。
といっても、足つけるくらいだから超ラクなんだけど。
梱包材を横で片付けてくれているみわの方が大変だ。
今は、コタツ布団を開けてベランダで空気を通しているらしい。
テレビの前が途端に和風になるかと思っていたが、みわが選んでくれたコタツ布団がしっくりきていて、特に違和感を感じなかった。
コタツの設置が終わると、オレは早速コタツの虫になった。
「あ〜……あったけー……」
お茶を持ってきてくれたみわも、隣でコタツに入ってきた。
「みかん買ってくれば良かった」
「あー、コタツでみかん、最強」
ふたりでお茶を啜りながら笑った。
穏やかな年始。