第55章 街へ出よう
「ごめんねみわ、出して貰っちゃって」
「ううん、いつも色々買って貰っててこんなんじゃ全然足りないよ!」
ふと、キャラグッズコーナーが目に入る。
「みわ、好きならグッズでも買ってく?」
「えっ、ううん、それはいい……」
少し下を向いて恥ずかしそうにする。
「なんかキーホルダーとか、お揃いでつけないっスか?」
「……お揃い?」
"お揃い"の効果は凄かった。
多分オレとお揃いの物を持ちたいんだろう。
イヤーマフの時もそうだったし。
どんだけ可愛いんスか。
キーホルダーコーナーに行くと、普通のキーホルダーの他に、小さいぬいぐるみがついているものがあった。
なんとなく、みわが持ってたら可愛いなと思った。
そして、彼女の視線も時々この商品に飛んでいた。
「みわ、このちっこいぬいぐるみのキーホルダーは? カギとかにつけたら鞄の中でもすぐ見つかるんじゃないスか?」
「えっ……でも、涼太がこんなの恥ずかしいんじゃ……」
「ん? 別に? これがいいならこれにしようよ。オレはこれかな。これならまあ全く同じぬいぐるみじゃなくてもいいっスよね」
なんとなく食パンの顔をしたキャラのキーホルダーを手に取る。
みわは、嬉しそうにバイキンの女の子キャラのキーホルダーを手に取った。
これくらいいいよと会計はオレが済ませると
みわは何度もお礼を言い、まるで宝物を抱きしめるかのように微笑んで大切そうにしている。
こんなキーホルダー1つで。
もっといい物買ってあげれば良かった。
「じゃあ、行こっか」
お目当てのインテリアショップはもうすぐそこだ。
値段と相談して無駄に高いようなら、同じくすぐそこにあるホームセンターで買ってしまおうかなと思っている。
繋いだみわの手は、冷たかった。