第55章 街へ出よう
店を出ると、まだ昼間だというのに先ほどの施設で見かけたような酔っ払いをちらほらと見かける。
皆、三が日はこうして浮き足立っているのか。
「酔っ払い、多いっスね」
いつかオレも酒が飲めるトシになったら、ああやって飲むのだろうか。
みわが隣に居てくれて、一緒に酒を飲めたらいいな。
「そうだね……やだな」
みわはオレに縋るようにピッタリ密着して歩いている。
そう言えば、さっきももしかして酔っ払いの集団を恐れていた?
どうして……?
「絡まれた事、あるんスか?」
「え……そういうのじゃないと思うけど……なんでだろう、なんとなく、いやだなって」
「そっか」
考えすぎか。
誰だって泥酔している人間たちなんて嫌なものだろう。
みわを庇うようにして、その場を去った。
他愛もないお喋りをしながら駅付近まで戻り、コタツを買うべくみなとみらい方面へ歩き出していると、みわが少しだけ深い息をついた。
「みわ、疲れた? 今日はもう帰ろうか」
「……あ、大丈夫だよ」
さっきあんな行為をして、身体が怠いのかもしれない。
「いいっスよ、どうせ帰る家は同じなんだし。遠慮しないで」
「じゃあ……ちょっとお茶でも飲んで休憩したいかな」
周りに休憩出来るような店は見当たらない。
ふと視界に、誰もが幼少期に大好きだった、パンの顔をしたキャラクターのミュージアムが目に入った。
確かあそこにもカフェがあったはず。
普段なかなか行かない所だし、丁度いいかな?
珍しい場所にみわも声を弾ませ、ふたり仲良く向かう事にした。