• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第55章 街へ出よう


「ご利用時間はどうなさいますか?」

「2時間でいいっスか?」

「うん」

……正直、どのくらいがいいのか分からないんだけど、前に友達と行った時もそれ位だった気がする。

「じゃあ2時間で」

なんか、カラオケって本当に久しぶりだ。
この間あきに誘われたけど、平日は部活で行けなかったから。

マイクなどが入ったカゴを受け取り、エレベーターで3階に移動する。

受け取った伝票に書かれている部屋は角部屋だった。

「飲み物持って行こうか」

手前にあるドリンクバーコーナーで、それぞれ飲み物を注いだ。

涼太はフルーツジュース、私は紅茶。

部屋に入ると小さな個室だ。

「あ、私コートかけるよ」

涼太からカーキのコートを受け取って、入り口のコート掛けにかけた。

コートから手に伝わる涼太の温かさとふんわりと香る匂い。

……こんな所まで主張してくるの、ほんっとうに腹立つ!!

……怒るってなかなかにエネルギーを使うなぁ……。

部屋は狭いので、ふたり並んで座った。

「……なんかリモコンがすごくなってる」

私が前に行った時は、タッチパネルではあったけど、画面はモノクロだった。

それが、今のリモコンはまるでパソコンのようで、一体何を押したら曲を探せるのかすら分からないくらいだ。

「涼太から歌って!」

「了解っス」

涼太は慣れた手つきでピッピッと曲を検索し、あっという間に予約してしまう。

聞いたことのある曲だ。
テレビでやってたのかな? CMかな?

涼太の甘い声がひとつひとつ音に乗るたびに、ドキドキが止まらなくなる。

歌声って、普段のどの声とも違う。

低かったり、高かったり、器用に音を追って、まるで自分の曲のように歌う姿は、思わず見惚れるほどだった。

すっかり自分の曲を予約するのを忘れ、聴き入ってしまっていた。

「う、上手〜い!」

「みわ、入れた?」

「あ」

しまった、すっかり。

焦って、さっき涼太が操作していたようにピッピッと必死に曲を検索した。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp