第55章 街へ出よう
店内に入ると、白を基調とした清潔感のある内装に、ところどころビビッドな色が使ってある装飾や椅子などが鮮やかで可愛い。
半個室のようになっている席に案内されて、ゆっくりできそう。
「……ここにセンパイ達が来るって凄いっスね……笠松センパイは無理かな」
確かに、店内には今の所、女性客かカップルしかいない。
若いとはいえ、大柄の男子高校生ふたりとはなかなか目立つ組み合わせではないか。
「どっちが言い出したのかな」
「そりゃあ〜……森山センパイじゃないスか」
ふたりの姿を想像してくすくすと笑う。
店員さんが来て、ふたり分のパンケーキとお茶を注文すると、暫く時間が出来てしまった。
「……みわ、昨日はありがとね」
涼太が目を伏せてぽつりとそう言った。
どことなく、恥ずかしそうなそんな雰囲気。
昨日の……
昨日はおばあちゃん家やSariさんやらと色々な事があったけど、どのことだろう?
「えっと……ごめんね、どれのこと?」
申し訳ないけれども念のため確認。
だって、私がお礼されるようなこと、何にもなかったから。
すると、テーブルの下から涼太が足を絡ませてきた。
すり、すり。
足首から太腿の内側を優しく撫でるように。
肌は出ていないのに、その動きに思わずゾクッとした。
「っ……ちょっとッ、涼太」
確かにここは奥まった席だから他の人からはテーブルの下は見えないと思うけど……!
真っ直ぐ見つめてくる涼太の宝石のような瞳に捕まると、身体が熱くなってくる。
足は、内側と外側を行ったり来たり。
えっちの時のような、優しく、いやらしい動き。
まるで、愛撫されているみたいな……。
「みわ、息が荒い」
「はっ……はぁ……」
さっきのキスで灯された火が消えていない。
いつまでも私の中で燻って、
じりじりと理性を嬲っている。
「……ナカ、どうなってるんスかね」
「!」
……下着が冷たい。
わかる。今、すっごく濡れてしまっている。
もっと、もっと触って。
えっちなこと、して。
そんな事を危うく口走りそうになり、不用意に声が出てしまわぬよう、両手で口を塞いだ。
結局涼太のその行為は、店員さんが元気にフレーバーティーを運んで来て中断されることになった。