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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第55章 街へ出よう


「まさかあきに会えるなんて思ってなかった! 嬉しい! でも、具合悪かったのかな? 大丈夫かなあ」

話している途中から突然様子が変わったから、ちょっと心配。

そう思って涼太に話しかけたのに、涼太は少し考えてからぽつりと言った。

「THE・調教ってカンジっスね……」

「え? なに? どういう意味?」

「いや、冬休み明けにあきサンに聞いてみて」

「? うん、わかった」

私達は百貨店を抜けて、外に出た。

「あれ、外に出ちゃったよ」

「うん、ここから連絡通路になってるんスよ」

「そうなんだ……!」

大きな国産車メーカーの本社を背に、連絡通路にある動く歩道に乗った。

「なんか、昼間こうやって出かけるの新鮮」

「そうっスね。オレたち、バスケ漬けだし」

でも、こんな毎日が楽しい。
こんなの、初めてだ。

中学時代もテニスをやってたから帰りが遅かった……よね……?

あれ……なんか、思い出せない。
帰りって、どうしてたんだっけ?

少し考え込んでいると、動く歩道のすぐ横にある通路を、酔っ払いの集団が大声で話しながら歩いて行った。

まだ若い。
こんな時間からあの酔いよう、きっと元旦から飲んでいるのだろう。

何故かその酔っ払いが物凄く恐ろしいものに見えて、身震いした。

「みわ? どうしたの?」

「……なんでも、ない」

突然胸中を支配した不安感を振り払うように、涼太の胸元に寄り添った。

涼太は両腕で優しく包んでくれて、少しだけ気持ちが落ち着いた。



そのうちに、天井が少し変わった造りのショッピング施設に着いた。

屋内のエスカレーターなのに、エスカレーターの上だけ天井がない。

「あれ、雨の時ってどうなるの?」

「ああ、カサさしながら乗るんスよ。エスカレーターの上だけ天井ないから。ちょっとビミョウっスよね」

デザインって、不思議だな。
そんなことを考えながら私達はエレベーターに乗って下の階に降りた。

海沿いにお店があって、幸いにもまだ殆ど列は出来ていない。

女性3人組の後ろに並ぶと、5分ほどして店員さんから声がかかった。



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