第9章 衝撃
……目の前に映るのは、天井。
見たことのある色と模様……。
でも、私の部屋じゃない……学校?
「みわっち」
あ……耳に入ってきたのは、黄瀬くんの声だ。
「神崎」
笠松先輩……?
「あれ……?」
首の角度を変えると、視界に入って来たのは眉を顰めた……
おふたり、お揃いで。
「神崎、オマエ倒れたんだよ。体調悪いなら、ちゃんと相談してくれ」
「たお……!?」
そうだった……!
突然目の前が暗くなって……
昨日寝てなかったし、食事も昨日の昼以降一切できてなかったからだ……皆に迷惑掛けて、何してるの!
きちんと体調管理をしなきゃいけないのに!
「は、はい! 自己管理がなっていなくてこんな時期に皆さんに迷惑かけてしまい、本当に申し訳ありません!」
なんの罪滅ぼしにもならないけれど、起き上がって頭を下げた。
「そういうことじゃなくてだな……無理すんなって話だよ。
いいから寝とけって……」
「あの、もう、大丈夫です! 1人で帰れますので、本当に申し訳ありませんでした……!」
「まったく、オマエもクソ真面目だからな……」
「センパイって、みわっちだと他の女の子よりも普通に喋れるっスよね」
「こんな時に何言ってんだ。……そりゃあ、ウチの仲間だからな。
他のクラスメートとは訳が違うだろ」
皆の助けをするどころか、迷惑かけて……情けない。
今のこの時間だって、練習出来る貴重な時間なのに。
でもここで泣いたらもっと迷惑だ。
ぐっと奥歯を噛み締めて堪える。
「黄瀬、オマエも今日は帰れ。神崎は俺が送って行くから」
「大丈夫っスよ、みわっちとは家近いし、オレが送って行くっス!」
「……オマエも無理すんなよ。神崎が歩けそうになったら帰るぞ。神崎、あんまりひどいようなら、明日病院行ってこい」
「は、はいもう大丈夫です! 申し訳ありませんでした!」
「……もう少し周りを頼ってもいいと思うがな」
「ほらみわっち、センパイも同じこと言ってるっスよ!」
「いえ……頼ってばかりで、本当に申し訳ありません」
迷惑ばかりかけている場合じゃないんだ。