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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第9章 衝撃


……最近、自己嫌悪ばっかりだよ。

帰り道、黄瀬くんはまた私を家まで送ってくれると言ってきかなくて。

これだって、彼の負担になってしまっているだろうし……。

歩くペースも、いつもよりゆっくりだ。
彼の長い足では、きっともどかしいだろうに。

「黄瀬くん、本当にありがとう。
私、自己管理がなってなかった……以後、気をつけます」

「みわっちは、頑張りすぎだからさ、ちょっと頑張らなくてもいいっスよ」

なんて優しいんだろう。
笠松先輩もそうだ。
ふたりとも、私を責めるような事は一切言わなかった。
私の自己管理がなっていないだけなのに。

情けない……皆に気を遣わせて。
慰めてもらうなんて。

そうこうしているうちに、私のアパートに着いた。
今日はヤツはいない。

心の中でホッと一息つくと、繋いでいる黄瀬くんの手に少し力が入った。

「今日、ウチ泊まりに来ないっスか?」

「そ、そういうわけにはいかないよ……」

突然の提案に慄く。
泊まりって、ご実家なのにそんな迷惑……。

「今日の偵察の結果、聞きたかったんスけど。あとは明日の小テスト対策もお願いしたいし。……やっぱり、だめっスか?」

困った表情の黄瀬くん。

そっか、テスト対策……黄瀬くんは勉強、苦手みたいだし……。
散々迷惑掛けて、困っている彼を無視するような事は、したくない。
協力出来ることなら、なんでもお手伝いしたい。

「え……うーん…じゃあ、少しの間だけ、お邪魔しようかな。テストの勉強、手伝わせてもらうね。でもおうち、大丈夫なの? 突然行ってしまって」

「メールしておくっス!」

パッと笑顔が戻った。
彼の明るさに、救われる。
真っ黒な気持ちに、光が射すようで。

「じゃあ、着替え持ってくるからちょっと待っててね」

一応着替えは持っていって……多分ご迷惑になるだろうから、帰ってくればいいだけの話だし。

どうせまたひとりで寝れないなら、その時間を黄瀬くんに使った方が有意義だ。

力になりたい。なんでもいい、少しでもいいから。



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