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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第55章 街へ出よう


どうやら会計を終えたらしい涼太が、店員さんとこちらに向かってくる。

「ありがとうございました! 素敵な彼氏さんですね」

店員さんは涼太の方をチラチラと見ながらそう言った。

「え、あ、はい……」

こういう時になんて返したらいいかなんて分からない。

「行こ、みわ」

涼太はもう話の終わった店員さんには目もくれず、手を差し出している。

大きな手に掴まれて誘導されるけど、そうじゃなくって!

「待ってよ、涼太」

「ん?」

「ごめんなさい、お金返すから!」

「いいんスよ。ごめんなさいより他の言葉が聞きたいんスけど」

「涼太、誤魔化さないで……!」

「じゃあこっち」

「?」

涼太は私の手を引き、非常階段のある一角に連れて行った。

「ねえ、本当にこんな高い物……ン!?」

抗議しかけた口を、涼太の唇に塞がれた。

「ん、んん……ん!」

ちょっと!
ここ、こんな所、誰が通るか分からないのに!

「ん……ぅ」

ダメなのに、分かってるのにこの唇に触れると、身体が勝手に反応する。

更に両足の間に入れられた涼太の足が下半身に密着して、ぐいぐい圧迫してくる。

そんなことされたら、腰のあたりがずくずくと疼いて足に力が入らなくなってしまう。

「……ふ……っ……!」

髪を撫でて耳を触る指に、啄むように動く柔らかく温かい唇に、翻弄される。

「ん、ぁ……」

「……これでチャラって事でどうスか」

「はっ……はぁ、ず、ずるい」

「オレが買ってあげたくて買ったんだから本当に気にしないで」

「……」

「……そんな純粋な気持ちじゃないっスから、安心して」

「?」

「行くっスよ、みわ」

今の、どういう意味?

「……涼太、ごめんなさい。ありがとう」

「どういたしまして」

琥珀色の瞳は、また優しく微笑んだ。



「次は何見よっか」

涼太はまだまだ買い物を続けるつもりだ。

「あ、あの、涼太。お買い物はもういいから、お茶しない?」

「疲れた? ごめんね」

「ううん、そうじゃないんだけど、喉が渇いたかなって」

もう少し、ゆっくり出来るところに行きたい。

「じゃあ、早めのお昼にするっスか」

「うん!」


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