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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第55章 街へ出よう


この階は本当に女性だらけだ。
いや、このファッションビル自体が多分女性の店ばっかりなんだろうけど……。

涼太、居辛くないのかなあ。

「んー……みわの雰囲気だと、あそこかな」

そんな私の心配をよそに、サラッと店内を物色し始める涼太。

「みわって、好きな色ある?」

……今まで、自分の好きなものなんて考えたこともない。

好きな色……昔はあったんだろうけど、もう今は思い出せない。

楽しみなんて何も無く生きてきた。
ただただ、毎日生きるのに必死だった。

今、好きな色は……

「…………きいろ」

涼太の色。
一番、好きな色。

「……ん、分かったっス」

そう素っ気なく言って他の棚を見に行った涼太の耳は、僅かに赤くなっていた。



「これなんかどう?」

そう言って見せてくれた服は、なんだかふんわりとしたブラウスだったりショートパンツだったり、オシャレに疎すぎる私は名前がよく分からないけど、どれも可愛らしく、でも可愛すぎない、私が好きなタイプの洋服だった。

「かわいい……!」

「いくつか着てみなよ。あ、スイマセン試着したいんスけど」

すかさず涼太が店員さんに話しかけ、混雑している試着室の順番待ちのための番号札を受け取っていた。

涼太を見た店員さんの目がハートになり、すぐに他の場所にいる店員さんに何かごにょごにょ話しに行ったのを見逃してはいませんよ。

「やっぱ試着室混んでた」

そう言うと、今度は靴を物色しだした。

「決して別れたいワケじゃないんスけどね」

「え?」

わかれたい?

「なんでもないっス。こっちのハナシ」

試着室が空き、店員さんが私達の番号を呼んだ頃には、涼太は両手に靴を持っていた。

「ハイ、これからね」

服一式を渡され、試着室に入る。

見るも無残な現在の服を脱ぎ、
まずは濃いめの黄色……カラシ色ってババ臭い表現? のふんわりしたブラウスと、グレーのチェック柄のショートパンツ。

ショートパンツって言うか……これ、ホットパンツって言うんじゃ、というくらいの短さだ。

私、ジーンズで来たからストッキングとかタイツとかないんだけど……。

「着たら出てきてね」

うっ、ですよね……。


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