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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第9章 衝撃


どうしよう。どうしよう。

先ほどまでの楽しかった気持ちは微塵も残っていなかった。

今は絶望感に支配されている。

やっぱり黄瀬くんに甘えるべきだっただろうか。
無理矢理食べた夕食も、さっき全部吐いてしまった。

今、何をすればいいかが全く分からない。

「……おふろ……はいらなきゃ……」

給湯器の電源を入れると、乾いた電子音が部屋中に響く。

自分で入れたスイッチの筈なのに、その音に驚いて肩をビクリと震わせる。
それすらも恐怖だった。

もう忘れられると、思っていたのに……。
どうして……!

鳴り響く携帯電話の着信音。
心臓が跳ね上がる。

「もしもし、みわっち? ご飯、食べれた?」

黄瀬くんだ。
黄瀬くんの、優しい声。

足の力が、がくがくと抜けていく。
ぺたりと座り込んだ。

「あ……黄瀬くん……うん、食べたよ」

「気分悪くないっスか、大丈夫? お風呂入った?」

「ふふ、お母さんみたい……お風呂はこれから」

心が少し軽くなっていくのを感じる。

「あー……やっぱり無理にでもウチに連れて来れば良かったっスわ。今からでも来ない? 迎えに行くっスよ」

「大丈夫だよ。本当に。……ありがとう、声聞けて嬉しかった。
また、明日ね。おやすみなさい」

甘え癖がついちゃダメだ。
大会前の大事な時期に。

明日からまた、頑張らなきゃ。

お風呂に入った後、頭に入らない勉強をし眠らなきゃと布団に入ったけれど、結局一睡もすることができず、朝を迎えた。

……気持ち悪……

あれから2日……だるさが抜けず、全身を倦怠感が覆い尽くしている。

寝不足で、食事もできていないせいかなんだか足元がフラフラ。
今日は流石にランニングに行く元気はない。

朝、黄瀬くんからメールが来ていたけど、大丈夫、ありがとうとだけ返してしまった。

余計な心配をかけちゃいけない。

皆、大会に向けて最終調整に入っているのに、私の都合で皆の雰囲気を壊すようなことがあってもいけない。

「よし、今日もがんばる!」

足取り軽やかに、とはいかないけれど、虚勢でもなんでもいい、とにかく今は皆を支えるんだ!

折角見つけた私の居場所、絶対守りたい。




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