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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第9章 衝撃


「みわっち? どーしたんスか?」

家の前にいる誰かを確認したみわっちは、オレの後ろに隠れてしまった。

男だろう……ここからでは、ハッキリ顔までは認識できない。

「セールスっスかね……?」

その割に、ヨレた服……見るからにだらしない格好だ。

辺りをキョロキョロと見回していた男は、諦めて帰るようだった。
こちらへ向かってくる。

「黄瀬くん……!」

背後からの切羽詰まった声に驚く。

「みわっち、どーしたんスか……」

振り向いた瞬間見えた彼女の怯えきった顔に、思わず抱き締めた。
誰からも彼女が見えないように。

「どうして……どうしてここに……」

みわっちはブルブル震えている。
男が来る方向に背を向けて、彼女を隠した。

周りに聞こえないように、小さな声で名前を呼びながら。

「みわっち、大丈夫、オレがいるっスよ……」

こんなに怯える彼女を見るのは初めてだ。震えて泣いている。

「きせくん……ひっく……きせ……く……」

泣きながら胸元に縋り付く姿は、最近の明るいみわっちからは想像も出来ない状態だ。

どうしたんスか、一体……。

男が去っていっても、しばらく彼女は泣いていた。
オレは、何をすることも出来ずに、黙ってただずっと抱き締めていた。




「ご、ごめんなさい取り乱したりして……」

「大丈夫? どうしたんスか一体」

「あの人……アイツ……お母さんの……」

「!」

まさか、あいつが。

「な、なんで住所知られてるの……お母さんにすら、言ってないのに……」

「……みわっち、1人で大丈夫っスか? 今夜はウチくる? 何もしないっスから」

「……ううん、大丈夫。ありがとう……これは、私の問題だから……」

「ホントに、心配なんスけど」

顔が真っ青だ。
泣き腫らした目に、おぼつかない足元。
とても放っておける状態ではない。

「さっき、庇ってくれて、本当に嬉しかった。
遅くまで、ごめんね。明日も練習だし、ゆっくり休んで……おやすみなさい」

「……寝付けなかったら、何時でも電話していいっスからね! なんかあったら、すぐ呼んで!」

そうは言っても、心配だ。
本当に大丈夫なのか?

彼女が家に入って鍵をかけたのを確認してから、帰路に着いた。



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