第54章 記憶
さりあは、普通じゃないプレイを好んだ。
ある日、さりあが生理中でムラムラするからセックスがしたいと言ってきた。
そんな事冗談じゃないと断ったが、彼女は準備よく、敷くためのビニールと大量のウェットティッシュやタオルを持ってきて、大丈夫大丈夫と言った。
あの時に強く断っておけば良かったと思ったが、女性の『生理』というものに興味があったのも確か。
しかしやはりその興味もすぐに後悔に変わる。
下着を脱いだ瞬間からどろりとした血の塊が流れ出て来ていた。
後から聞くと、本来なら終わりかけの経血量が減った時期にやるのが多いと言っていたが、この日の彼女は生理2日目だったらしい。
よくよく調べたら最も経血量が多いし色々な感染なども危ない、身体にも良くない時期だと分かった。
この知識さえあればうまくかわせたのにと、これも後悔の要因のひとつだった。
普段の愛液ですら嫌悪感を抱いていたのに、どろどろ流れてくる血だなんて、なんの冗談だ。
妊娠しないからとここでもナマでの挿入を頼まれたが、全く取り合う気もせず断った。
さりあは構わずオレに跨ってきて、オレの腹や太腿が赤く染まる。
「しっかり濡らさなくても、スルッと入っちゃうね」
さりあは嬉しそうに言ったがオレはこのおぞましい状況がなんとか過ぎ去る事に集中していた。
立ち込める嗅いだ事のない悪臭にべちゃべちゃと溢れる経血。
狂ったように喘ぐキンキン声。
思わず吐きそうになるくらい、最悪な気分だった。
それなのに、ペニスを擦られると変わらず射精するこの身体に苛立ちを覚える。
早くイかなければと集中して、いつもよりも早く射精した。
「今日は早かったね。興奮した?」
と顔を近づけて言われ、物凄くみじめな気持ちになった。
初めて、まるで犯されているようだと感じ、その日は風呂でしつこく身体を洗った。