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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第9章 衝撃


黄瀬くんが先輩にこってりしぼられて、結局そのまま帰る事になった。
少しずつ慣れてきた、2人で歩く帰り道。
いつもの景色……の筈だけれど、今日はなんだか目に入らない。

「も、もー……信じられない……」

「刺激的だったっスね」

「ばか……」

「みわっちだってその気だったくせにー」

笠松先輩にキスしてる所、見られて……うう、気まずいよ〜!

「もう、学校ではああいう事、絶対しないからっ!」

「そうなんスか? じゃあ、ここでしよっか?」

そう悪びれもせず言う姿まで魅力的に見えてしまうのは、なんなんだろう。

「……そうじゃ、なくて……」

でも……黄瀬くんとのキスは、好き。
もうわけわかんなくなっちゃうくらい気持ちよくて。

こころが、ほわんとするんだ。
それは今まで生きてきて、感じたことのない感覚。

すごく、好き。

あんまり自覚してなかったけど、私、黄瀬くんのこと好き、なの……?

好き、って気持ちが分からない。
この、絶えずドキドキする気持ちがそうなんだろうか?
一緒に居たいと、そう思ってしまうこの気持ちが?

でも、黄瀬くんは多分私に恋してるとかそういうんじゃなくて、今周りにいる女の子の中で考えるなら、まあ好きかも? っていう程度なんだよね、きっと。

だって、黄瀬くんのファンの子、キレイな子ばっかりだもの。

2人で他愛もない言い合いをしているうちに、私のアパートが見えるところまできた。

「ごめんね、いつも疲れてるのに送って貰っちゃって……」

「オレが来たくて来てるんスよ。普段、ゆっくり話せるのって昼休みくらいだし。
みわっちにはもっと頼って欲しいんスけどね……」

「頼りにしてるのに。いつも」

「そうは思えないっスけど……あ。みわっちの家の前に、誰かいる」

「ほんとだ……」

視界に入って来た人物に、息を呑んだ。
ずんぐりむっくりとした体型に、乱れた薄い頭髪。

あの後ろ姿は……あれは……
目の前にフィルターがかかったみたいに、視界がぼやけるような感覚。
頭の中で再生されるのは……

その人物は、玄関のドアの前でキョロキョロと様子を窺っている。
私が帰って来るのを待ってるんだ……!

思わず、黄瀬くんの後ろに隠れてしまった。





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