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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第53章 初詣


少しの間だけ公衆電話ボックスに避難していたら、土砂降りの雨はすぐに止んでしまった。

どうやら気まぐれな通り雨だったみたい。

ボックスの外に出ると濡れた土の匂いになんだかとても懐かしい気分になる。

水滴がキラキラと光る遊具たちの間を抜けて、公園を出た。

涼太が少し前を歩いている。
さっきまでは腕組んで歩いてたのにな……。

いいかな、組んでも。
ダメなら手を繋ぐでも。

勇気を出して自分から腕を組んでみようかな……。

恐る恐る腕を通すと、涼太がこちらを見ている気配があって、照れを隠すために目線を下ろした。

長い足が私の歩幅に合わせてくれてる。
それがなんだかとても嬉しくて、ドキドキしながら歩く。

「みわ、明日どっか行かないっスか? 2日だからやってるトコ少ないかもだけど」

「行く! 行きたい!」

やった!嬉しい!

けど

あ、しまった……。
冬用のデート服がない!!
ダサいニットしかない!!!
うう……まずいぞ……。

「じゃあ今日は早く寝なきゃっスね」

「……そ、そうだね」

いつも寝かせてくれないのは涼太なんだけどな……。

「楽しみ?」

「え?」

「ニコニコしてる」

「え、やだ」

無意識にニヤニヤしちゃってた!?

「……カワイイっスね」

そう言って涼太はまたちゅっとキスをした。


「……涼太って、キス……好きだよね」

「ん? そうっスか?」

だって、今日だけで何回も……。

「みわとだけはね、好きっスよ」

……Sariさんの事、気遣ってわざとそう言ってるのかな。

「あ、ウソじゃないっスからね? こんなんウソ言っても仕方ねーし」

「……うん」

やだ。
何考えてるの。

不安な気持ちが、なくならない。


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