第8章 マネージャー
「あ、ねえ、ちょっと……」
オレの腕の中で、オロオロする姿が可愛い。
心臓の音が、こちらにまで聞こえてきそうだ。
「ごめん、汗臭いっスか」
「そ、そうじゃなくて、あの、マッサージ……」
いつも鉄壁で完璧な彼女を見てると、崩したくなる。
オレ、本当にヤな奴っスね。
「みわっち、舌、舐めたい。くち、あけて」
「やッ……耳元で、しゃべらないで……っ」
「オレの声、嫌いっスか?」
「っあ……」
みわっちのカラダ、さっきから反応してるの、分かってるっスよ?
「久々っスね、キスするの。ね、開けて……? オレに、見せて?」
耳元で囁きながら耳朶に軽く触れると、みわっちの抵抗はなくなっていた。
最高にエロい表情で、口を半開きにする姿。
これは、予想以上にクるものがある。
「いいっスね、その顔、そそられる……いただきます」
ゆっくりと唇を重ねると、彼女の肩がふるりと震える。
初めは、彼女の舌も戸惑っていたけど、少しずつ、応じてくれているのが分かった。
誰にも渡さないっスよ。
みわっちは、オレのなんスから。
「……ん、あ……」
みわっちの甘く切ない声を聞きながら濃密な口づけをしていると、不思議な感覚に陥る。
キスって、こんなに気持ち良かったっけ……
セックスしてるわけじゃないのに。
全身が総毛立つような快感を、オレは感じていた。
こんなの初めてだ。
今まで、1度だってなかった。
やべー……
ああ……触りたい。抱きたい。
今まで我慢出来ていた欲望が噴き出しそうになる。
お互いの荒い呼吸と、舌が絡み合う際の卑猥な音で、段々と理性が失われていくのを感じる。
衝動的に、みわっちのTシャツの裾から手を差し入れた。
「あ……」
ピクリと反応を見せる細い腰。柔らかい肌。熱い唇。
躊躇いがちで小さな喘ぎ声。もう限界だ。
背中に手を回し、ブラジャーのホックに手をかけた
……瞬間。
「おい、黄瀬、神崎、いつまで……」
部屋に入ってきた笠松センパイと目が合った。
「あ……センパイ……」
「き、黄瀬、オマエ……」
「きゃー! か、笠松先輩! 鼻血が!」
その後、思いっきりシバかれた。