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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第53章 初詣


みわがリビングに戻ってきた。
少し元気がない。

「……みわ? どうしたの?」

無理矢理したのを怒っているのだろうか。
それとも、何か言われた?

「ん、Sariさん寝たよ」

「ふぅん」

ハッキリ言って、彼女に何の興味もない。
そんな事より、みわの表情の意味の方がずっと気になっている。

「……冷たいね」

「優しくして欲しいんスか?」

「そうじゃないけど……Sariさんは、涼太の事、まだ……」

好き、とでも言いたいんスか?
胸の中に黒いわだかまりのようなものが渦巻く。

「それはねぇスよ絶対」

「……どうしてそう、言えるの?」

「そもそも恋人じゃなかったって、言ったっスよね?」

「……そう、だけど……涼太とえっちして、忘れられなくなった、とか……」

それなら、尚更有り得ない。
だって彼女は……。

「みわはオレとのセックス、忘れられない?」

「……記憶なくしてた人間だから大きい事言えないけど……忘れられないよ」

「ごめん、嫌味みたいになったっスね。とにかく、それはないから。みわもあのヒトの事はもう気にしないで」

「うん……」

みわの表情は暗いままだった。
とにかく、これ以上あの女の事を考えたくない。

「じゃあ昼過ぎに起こせばいいんスね。何しよっか」

「あっ……私、観たい映画があって」

「いいスね、貸して」

「うん……! 私はお茶入れてからいくね!」

パッと明るくなった表情に安堵し、みわが鞄から出したDVDを受け取るとテレビとデッキの電源を入れた。

キッチンでは、こぽこぽとお茶を入れる気配がする。

やっぱりいいな、こういう日常の感じ。

彼女と結婚したら、毎朝一緒に目覚めて朝ご飯を食べて、仕事から帰ってきたら一緒にお風呂に入って、イチャイチャして。

もしかしたら子どもも出来るかもしれない。
みわに似たら頭脳明晰だなとなんとなく考えた。

「みわ、これ、なんスか?」

「あ、あのね、先週末テレビでやってて録画したのを焼いてもらったんだ。昔の映画だよ。恐竜のテーマパークでどうこうってやつ」

「ああ、今最新作やってるっスね」

「なんか昔のが見たくなって」

微笑んだ顔はいつも通りだ。


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