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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第8章 マネージャー


その日の練習後。

「ん、ここ……疲れてるね……」

ここは例の処置室だ。
笠松センパイの許可が出たので、みわっちのマッサージを、今日はオレがして貰うことになった。

上半身からほぐして貰い、足にさしかかったところで、練習のしすぎを指摘されてしまった。

「練習、軽めにした方が……」

「オレ、強くなりたいんスよ」

「でも無理はしちゃだめだよ。故障したら元も子もないよ」

「みわっちだって無理してるじゃないスか」

辛いこと、我慢してるじゃないスか。

「黄瀬くんは海常のエースなんだから。私とは違うよ」

「……」

「……嫌な言い方しちゃった。ごめんなさい」

「みわっち、嫌がらせとかされてないっスか」

「……え、どうしたの急に」

「オレのファンの子とかに」

「ん、大丈夫だよ」

「……この間、"昼休みに部室で洗濯しようとしてホースが取れて水かぶった"って午後、ジャージで授業受けてた時あったっスよね」

「……あったかな?」

「あれ、女どもに水かけられたんスよね」

「……」

「オレ、もう知ってるから」

「……あー……そんなこと、あったかな。ちょっと怒らせちゃったみたいで。でも、大したことではないよ」

「みわっちはいつも、どうしてオレには何も言ってくれないんスか」

「……」

「オレ、そんなに頼りない? センパイ達は知ってるのに……」

「違うよ、頼りないとかじゃないよ。
黄瀬くんが、誰よりも頑張ってるの分かってるから。邪魔したくないの……」

そう言いながら、みわっちの手が止まることはない。

うまくごまかそうとしているのが明らかで、オレはちょっとイライラしていた。

「そんなにオレのこと考えてくれてるなら、キスしてよ」

「……えっ?」

途端に真っ赤に染まる頬。

「オレ、悶々として練習に集中できないっス。
ねえ、オレのこと考えてくれてるなら、してよ」

「え、そ、それはまた、別の、話じゃ」

こんなの、ただの八つ当たり。

悔しかった。
いつまでたってもオレの思い通りに手に入らないみわっちにも、うまくできないオレ自身にも。

みわっちの腕を引くと、彼女はよろけてオレの胸の中にすっぽり収まってしまった。


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