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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第53章 初詣


先輩方も午後から予定があるとの事で、9時過ぎには解散してしまった。

おばあちゃんの家には午後から行くことになっている。
午前中はお友達が来ると言っていたから、一度家に戻る事にした。

マンションのエントランスに入ると、オートロックの前で蹲っている女性が。

「あの……どうかされましたか?」

気分が悪いのかと声を掛けると、Sariさんだった。

「カギ……中に置いたままゴミ捨てに来ちゃった……」

「……何してんスか」

涼太は、気にも留めてないといった風に冷たい態度。

「大丈夫ですか? こんな寒い所で……立てますか?」

ゴミを捨てにきただけとあって、すごい薄着だ。

差し伸べた手を握られると、外の寒さとは対照的に熱くなっていた。

「Sariさん、熱が」

「……寒い……」

ブルブルと震えている。

「涼太……!」

「別に、子どもじゃねーんだから家に戻りゃ薬でもなんでもあるんじゃないスか。ほら、Sariサン開けるっスよ」

涼太はそう言ってオートロックを開け、私の手を引いて行こうとする。

「ま、待ってよ涼太! あんな状態で放っておけないよ!」

「いいんスよ、彼氏でもなんでも呼ぶでしょ」

後ろではフラフラとドアを抜ける彼女の姿が。

確かに、涼太にキスしたのは怒ってる。
過去の事に嫉妬もしてる。

でも、それとこれとは話が別!

「ごめんなさい、涼太! 私やっぱり無理だよ! Sariさん、歩けますか?」

「ちょっと、みわ」

「……ありがとう……」

「おうちにお薬ありますか?」

「……ない……」

涼太の方を振り向くと、まさかという顔をされる。

「Sariさん、うちに来て下さい。せめて、熱が下がるまで……」

「……みわ、マジで言ってんスか」

Sariさんを支えながらなんとか帰宅し、私の部屋のベッドに寝かせた。

「……ねえみわ、何考えてんスか」

現在、廊下で涼太のお説教中。
怒られているというよりも、完全に呆れられてる。

「……ごめんなさい」

「とにかく、熱が下がるまでっスからね。下がったらすぐに帰すこと」

「はい……」

「大体、オレたちも午後」
「栄養あるお粥作らなきゃ! ……あ、ごめんなさい、なに?」

「……なんでもねぇっスよ……」




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