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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第53章 初詣


着信音が聞こえる……

「……もしもし?」

……潜めた声……涼太の声。
大好きな声……

「明けましておめでとうございます。えっ、皆集まるんスか?」

……海常の先輩かな。

「……あー……みわちょっと今寝てて……ハイ。それじゃあ失礼しまーす」

通話を終了させると、マナーモードにしてサイドテーブルに置いた。

「……でんわ……?」

「あ、ごめんねみわ、起こしたっスか? センパイ達が初詣行くから来いって……」

時刻はまだ2時だ。

「そっか……準備、しなきゃだね。何時に待ち合わせ?」

「7時だからまだまだっスよ。ゆっくり準備しよ」

冷えた室内の空気に負けない温かい唇でキスをされる。

「や、だめ、ストップ」

「みわ? どうして?」

キスひとつで簡単に火がつく身体になってしまった。

「あの……帰って、きてから……ね?」

一度燃えてしまうと、自分ではもう制御できない。

時間を気にせず、ゆっくりしたいから……。

「……はぁ。みわはそーゆー上目遣いどこで覚えてくるんスか……」

上目遣い?
して、ないよね?

「あ、出掛ける前にお雑煮でも食べる? それならすぐ」
「みわ……ゆっくりイチャイチャするとかそういう選択肢はないんスか!」

「えっ、あ、ごめんなさい……」

つい、アレコレと母親みたいな事しちゃう。
だって……恥ずかしいんだもん……。

涼太は御構いなしに抱きついてくる。

「みわってスゲーいい匂いがするんスよね〜ふにふにしてるし……」


ふにふに……!?

思わずお腹の肉をひとつまみ。
……。

や、やばいかも……。

考えちゃいけないと思いつつも、Sariさんの後ろ姿を思い出す。

涼太にキスしていったのは今でも嫌だけど、凄く……綺麗なひと。

プロのモデルさんなんだから当たり前なのかもしれないけど。

焦る。
少しでも、涼太に満足して貰いたい。

「……みわ、痩せなくていいんスからね」

「……へ!?」

突然ズバリな事を言われて。

「今、痩せなきゃって思ったでしょ」

「お、思った……」

涼太は、なんていうかひとがどう考えているのかを読み取るのがうまくて……。

私の考えてる事なんて、きっとお見通し。


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