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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第52章 大晦日の出会い


「……高校生のガキのくせに何言ってんだって感じっスよね……」

「そんな事思ってないよ! 嬉しい……」

指にはめたり、外してチェーンを通したり眺めたりしていると、また涙が滲んできた。

嬉しい。

本当に、嬉しい。

「みわ、さっきからずっとそうしてる」

「だって……嬉しいんだもん……」

涼太が寄り添ってきたから、指輪は左手の薬指にはめて私も身体を寄り添わせた。

「……みわ、オレはみわだけだから」

「うん、私だってそう」

「トラブルにならないよう……言っておきたいんスけど」

「ん? なぁに?」

「……さっき、嫌な思いさせてごめん。オレと彼女は、付き合ってたとかじゃないから。ただ、中学でオレが荒んでた頃、気に入られてた」

「そうだったんだ……」

良かった。付き合ってた、とかじゃなくて。
そんな風に思う自分が嫌だ。

今は、私と付き合ってるんだから、いいじゃない。

こうして、愛されてるんだから。
自信もっていかなきゃ。


でも、あんな綺麗で大人なひと。


取られちゃう。


不安になる。



「……あと……隠したくないから言うんスけど…………彼女とは、寝たことがある」

「……あ、そう……なんだ」

寝たことが、……ある。

その一言が、自分で思うよりもずっとこころに重く響いた。



それは、涼太があのひとをこうやって抱いたということ。

「……ショック?」

「う、ううん……昔のこと、だし……いまは、わたしと…………だし……」

……いやだ、またこころが黒くなる。
過去の事だ。気にしたって仕方ない。
仕方ないの。

さっきとは違う涙が出てきた。
顔を上げずに、涼太の胸に埋める。

みっともない嫉妬だ。
過去になんてどうやっても戻れやしないのに。

今ここにいる涼太でどうして満足できないの。
どうして、過去も全部ひっくるめて欲しいと思ってしまうの。

「……ごめん、みわ。今言うべきじゃなかったっスね」

涼太が悲しそうに、私を撫でた。

「ううん……涼太以外のひとからそういうの、聞きたくない」

もし彼女から聞かされたら、ショックじゃ済まなかったかもしれない。

これは、涼太の誠実さだ。





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